ふたりの朗読会 報告

昨夜の「ふたりの朗読会」にお運びのみなさま、どうもありがとうございました。詩人小森岳史君あるいはTRIXIS BOOKS さん名付けるところの信天翁倶楽部詩人の部Vol.1 ふたりの朗読会は、なんと言ったらいいか、滋味あふれる会となりました。おいしいごはんを食べたような気持ち。すてきな夜でした。
佐藤わこさん、飯田有子さん、企画を進めてくれた小森岳史さん、感謝です。ありがとうございました。また、サポートの詩人カワグチタケシさん、青秋部I&Iさん、ほうろうもありがとう。以下はまったくまとまりがありませんが、昨夜のレポートです。よかったら読んでください。



第一部、佐藤わこさん

わこさんの声はミラクル、とはこの会を企てた小森君の言葉ですが、それはほんとのことです。わこさんの声が発する言葉は詩でも、散文でも、みな物語になる。私はあっというまにその世界に身を任せてしまう。
そしてわこさんは詩の朗読のあいまに訥々と近況を交えながら語ります。
見えない戦争のこと、「なにかで闘いたい」「なにかで世の中をよくしたい」ということが「ほんとうに安全で美味しいパンを焼いて、食べてもらうこと」と決めた神戸の天然酵母パン屋さんのこと。女性ビート詩人のこと。
ダイアン・デ・プリマの詩からオノ・ヨーコの詩へ。
それからジャック・ケルアックの最初の妻イーディー・ケルアック・パーカー著「You'll be Okay」(トランジスタ・プレス)が世に出るまでの紆余曲折について。わこさん曰く「ビートは男のもの、男の美学であり、女によって語られることを世間も出版業界もずっと拒み続けた。そのイメージを壊すものは排除されてきたのだ。その意味でも、この本が世に出たことの意義は大きい。これまで知られることのなかったビート作家たちの生活者としての一面をも包括した貴重な回想録になっている。」
ビート作品、作家、詩を長く親しみ愛し探求されてきた、わこさんならではの思いのこもった言葉でこうした逸話が語られるなか、私はこれまでビート作家と呼ばれる人たちの作品を最後まで読みとおせたことがないことを思い返す。「路上」もピンと来なくて途中で投げてしまっている。そのことと、今日聞いた逸話とはどこかで符合する気がした。
そんなこともあって、これは絶対に読みたい、読もうと思う。
わこさんごめんなさい。今日は語りのことばかりに言及して。



第二部、飯田有子さん

会の準備をすすめた小森君がマイクの必要にこだわりました。それは、有子さんの素っ気ないのか色っぽいのか、そのどちらでもあるようなないような、細い声(体も細いです!)から発せられる言葉の一字一句、その耳ざわりまでをも洩らしたくなかったのだと合点がいきました。
題材にして詠まれた作品のせいもあったかもしれないけれど、月を抱こうとして池に落ちて死んだ僧侶の話。(出典メモし忘れました)この朗読のなかで何回「僧侶」と言っただろう。有子さんが「僧侶」と発するその僧侶はすごく艶めかしいと感じた。また、同じ題材の中でだったか、別だったか(ごめんなさい記憶が。。)「おぼれることができる人は読書する人だけです」のフレーズにドキッとさせられた。聴く人の心に、なにかちょっとしたざわざわするものを残す、そんな朗読だと思った。
有子さんは朗読のあいまに、まるでよしなしごと、といった調子で職場のこと、本屋のことなど語るのですが、「平面に違うタイトルが素知らぬ顔で仲良く並んでいる。だから古本屋は好き。」(これはとてもうれしいです)とおっしゃり、それは箇条書きにも通じていて、そもそも「箇条書きの感覚が好き。」それで「最近ツイッターのTLおもしろい。」と言いながら、おもむろにご自分の携帯を取り出し、TLのさまざまなつぶやきを詠みはじめたのだった。
短歌って想像してるより自由なものかもしれない。というか有子さんは自由だなぁ、と思った。
それから境涯詠、職場詠・職業詠。そんな話題ものぼった。最後にはまたご自分の短歌も詠まれました。
有子さんの発言でとても印象的だったことをひとつ記しておきます。
「詩の朗読はテキスト選びも意思表示」
ごめんなさい。有子さんについても語りのことばっかりの報告でした。


そして。

信天翁がオープンしてから8ヶ月、ここが古本屋であることを踏まえつつ一体どんな場として可能なのか。幸福なことにこの場を活用してなにかをしてみたい、なにかを創りたい、と手を挙げてアクションをおこしてくださる方々に次々めぐりあえて、その度に私たち自身も挑戦、摸索、そして楽しみたい、という気持ちで取り組んでいる真っ最中です。あるいは、それはずっと続くこと、限界をできるだけ決めないで試し続ける。そういうことかもしれませんが、そんななか、昨夜の朗読会はあるひとつの新たな理想のカタチ、のようなものにも感じられました。こんなふうにもできるんだな、というような。そんな意味でも、わこさん、有子さん、小森君ありがとう。そして、これまで信天翁で集い、そこにしかない時間空間を作り上げてくれたいくつかのイベント主催、出演の方々、関わってサポートしてくれたすべての方にも改めて感謝の気持ちです。それを伝えたかった。その上で私たちの挑戦と摸索と楽しみはこれからも続きます。いくつかの楽しみな企画も控えています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
[PR]
by books_albatross | 2011-02-27 21:00 | あほう♀