スリム・ゲイラード

今日 日暮里からだんだんを通る仕事帰りのYさんに遭遇した。
わたしが千円札を握りしめ、閉店間際の商店街へ米2kgを買いにだだだーーっとだんだんを駆け下りたところで、
「ちょっとちょっとちょっとぉーー」と背中から呼び止められ、
「へんな走り方すんのね!」と言われる。
オネエみたいなしゃべり方のYさんだ。

この人がCバーのYさんだったとき、Cバーは♂が2軒目か3軒目に行くところで、
つまり、終わりというものを知らないかのような人々の、なにかるつぼ的な店で、わたしはめったに行かなかった。
でも、そのめったに行かないCバーでわたしは一度だけ悪酔いをして、30過ぎて学生さんでもあるまいに馬鹿なんじゃないか、寝ゲロを吐いたことがある。ひどい。
♂が文句たれながらわたしを連れ帰った。
翌晩、なんだったか、なにか、果物を粗相のお詫びにと抱えて、わたしはCバーの扉を開け、ともかくYさんに謝って頭をさげたのだが、
「なに?そんなことあった?」
とケロッとすましたYさんなのであった。
夏はいつでもアロハのYさん。それも夏のことだった。


このところ読みすすめているケルアックの『オン・ザ・ロード』(青山南訳)のなかにスリム・ゲイラードが出て来たのは昨晩のこと。
Yさんの大好きなスリム・ゲイラード。
ピアノを弾き、ギターをならし、歌だかしゃべりだか、犬のなきまねだったり、なぜだか日本語で「ゴメーーナサーイ」とゆるくうねったりもする、客席がどかどかウケている、そんなライブ音源だった。
それを「これ、いいでしょ。」「大好きなの。」と聞かせてくれながら、自分もスリムと一緒に吠えたり歌ったりうなったりしているYさん。
書かれてあるシーンを追いながらも、あれ(Yさん)とこれ(ディーン)とが交錯して、ちょっと興奮を覚える読書体験となったのだった。


ところへばったり遭遇した今日である。
「米はね、おかゆにするの。そしたらかさが増すでしょ。」
と言ってYさんは商店街の途中、床屋の角を曲って行った。


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by books_albatross | 2013-04-09 04:51 | あほう♀