メモ

今年読んでよかった小説をメモ書きしておきたくなった。
昨年は、ストーリーのあるものを読み通すコンディションになかったことを思うと、ちょっとうれしくて、これは自分のために。



「オリーヴ・キタリッジの生活」エリザベス・ストラウト 小川高義訳
舞台は大した事件など起こらない海辺の静かな田舎町、といって人の心になにも起こらないわけではなく。自分が投げた石の波紋、他人が投げた石の波紋。信頼してる人が何人も薦めていた1冊。ちょうど「過去と他人は変えられない。」というようなことを、頭と心にくりかえし唱えていたような時期に読んだ。

「夢果つる街」トレヴェニアン 北村太郎訳
「移民たちが破れた夢を抱えて生きる吹き溜まりの街ザ・メイン」モントリオールって、そんな裏町あるんだ... 的外れな動機で珍しく手にとったハードボイルドミステリー小説。若くして愛妻を亡くす、以降頑固者、単独行動、孤立しがち、病で死期も近い、そんな主人公の警部補は、いつのまにか、わたしのなかでハーヴェイ・カイテルの姿に変換されてしまっていた、しかも夢中で読み進めていた。こんな読書もあったのか!

「ふぉん・しいほるとの娘」 吉村昭
その妻(長崎出島の遊女)や娘(私生児)の生涯を描くことで浮き彫りとなる偉人シーボルトの人間像。シーボルト、ひどい。

「抱擁家族」小島信夫
読み出してしばらくざわざわした。この家族のありように。あってあたりまえだった(あたりまえでないとはつゆも思わず)頃、家族とか家というのは、滑稽だ、シュールだ、と感じていたことを思い出した。読むのがつらいのにやめられず、年の瀬に暗い穴に落ちてしまった。小説は、こわいものでもある。



みなさま、よいお年をお迎えください。

新年は1月4日(土)よりの営業となります。


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そこに古いスタンウェイがありました。12月 柳下美恵さんの「聖なる夜の上映会」会場、本郷中央教会にて。
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by books_albatross | 2013-12-31 04:04 | あほう♀