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2017 #3 ペチゼミ文学 第7回 安部公房 辺境の砂漠から


わたしは昨年から学生時代以来のゼミ通いをしています。


そのゼミは「ペチゼミ」といって、ミュージシャンで編集者の近藤十四郎さん首謀、千駄木のカフェ「ペチコートレーン」で毎月第4日曜の夜に開講されている独立講座です。偶数月は文芸評論家の多岐祐介さんが文学の内と外を語る「ペチゼミ文学」。

一昨日はその第7回「安部公房の回」でした。
 
 本質だけをつきつめていくとまるで骨組みだけの建造物
 アヴァンギャルド
 辺境、砂漠とか瓦礫とか...
 
 人は本質だけで生きるのじゃない、
 もっとブロッコリーとか人参とか、
 なんてことない日常のあれやこれやで...
 
 自意識のありかた
 一度は通るべきだけど、通り抜けないと
 
 岡本太郎。

「砂の女」を数十年ぶりに読んでみようかと手にとった今日(*岸田今日子の映画はYoutubeで観られるそうです)、ズビ、ズバッとくりだす先生の数々のフレーズがリフレインしています。「他人の顔」を語りながら、おもむろにスケキヨマスクでにじり寄る先生の絵面とともに(*スケキヨマスクはドンキで売ってるそうです)。

会場のペチコートレーンは普段は音楽のライブも楽しめるカフェです。
なので雰囲気としてはビールやコーヒーなど飲みながら気軽に参加できる娯楽講座といったところでしょうか。
毎回言及作家、作品がありますが「読んでなくても大丈夫。」という触れ込みに偽りはなく、わたしは大体読まずに行っているのですが、いつだって先生の語りにぐいぐい引き込まれる2時間あまりです。
先生の声はとてもいい。その姿もいい。噺家さんのようです。
そのせいもあるでしょうか、わたしは毎回文学ライブに行くのだと思って出かけている節があります。
勉強になることだらけなのだけれど、勉強会ではなくてライブ。そんな気持ちで臨めるところが、このゼミのとてもいいところだと思うし、なんと言っても消えてしまうその時、その場を体感する喜びがある、さらには心に響いたフレーズがあとから自分のなかに再生されてきて、あの作品、あの作家、読んでみよう、となるわけです。
ちなみに毎回、その日の言及作品や関連書籍をささやかに並べているコーナーがありますので、休憩時間に手にとってみることができますし、もちろん購入もできます。

ペチゼミ文学は、文学文芸を専門的に学んでいる人はもちろんのこと、日常的に本に関わっている人もそうでない人も、どんな畑の人にも、案外、週末を終えて月曜を迎えるにあたってのトーン替えがほしいなぁなんて人にだって広く開かれている、そんな場なのではないかとわたしには思われるのです。

《ペチゼミ》
毎月第4日曜日夕方6時半スタート
場所:千駄木ペチコートレーン http://petticoatlane.jp

次回ペチゼミ文学は8月27日(日)

奇数月はライターでイラストレーターの金井真紀さんが出会った達人を招き、そのあり様を聞く「ペチゼミひと」です。 ※7月のペチゼミは休講です。


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終了後、多岐祐介先生を囲んでのひととき



by books_albatross | 2017-06-27 17:06 | あほう♀